――再生―― 指先が僅か震えているのに気づき 私は思わず手を回したのです あなたはいつも ただ我武者羅に強い方 頼もしかったけれど少し寂しかった ――あぁよかった あなたも泣けるのですね 知らず私の頬にも涙伝っていました 『もう強がらなくてもよいのですよ』 私はそっと囁くのです 夏の湿った風が今日は何故か涼しく感じました 一人で抱え込まないで 人間などちっぽけなもの 静かに流れる時間にさえ逆らえず 時期外れの蝶が舞う中 私は始めてあなたの苦しさにふれたのです さらりと頬を撫でていく日の光が あまりに眩しく頼もしく感じるのです 独りにはなれない だったら手を差し出してください 私がその手を取っても負い目など感じないで 義務なんかではありませんから 『私にもあなたを支えさせてくださいな』 呟いた言葉は胸に刺さった棘をも溶かしてゆく あぁ私たちは二人でいながら互いに独りだったのですね―― 広い背を支え私は目を上げました 苦しいくらい青い空には眩いばかりの太陽 その威容にうっとりと目を細め 消え入るように呟きました 『明日はきっと……』 使い古されたセリフ でも頷いたあなたは涙で崩れた顔を俯けたまま、かすかに笑ったのです さあ、往きましょう 胸に吹き込んできた夏の香りが、じわりと汗を伴って 心地よい疲労に満足した私に染み入ってきました 高校時代の作品