――南風―― もしも僕が息絶えたなら 遥かな空の下 鳥に変わるでしょう 飛べない鳥は愛の歌を歌い 優しい南風に変わる 貴方のもとへ 届かなかった歌を届けに 見えない空は鈍色で覆われて 決して光など望めない けれど、一つ二つと 希望が生まれ消えていくのは 人間という不確かなモノの性なのですか 皆は「絶望色」だと言うけれど 僕にとっては…… あの空の下遠い果てには 光溢れる世界が 僕はこの空の下祈っているのです 君に逢えることを ほら、僕の元へと降り注ぐ愛と希望の欠片 貴方には見えますか? 僕はここに居て、只管に唯純粋に 終わりが来るのを待っているのです 仄暗い迷路の中、希望だけは消えないように 僕のお祖父さんは、よく話してくれました 昔々、光があった頃 地上には懇々と愛が溢れていたのだと そんな世界に思いを馳せ 今日も眠りに付くのです 夢物語は 想像がつかないくらいに広くて深いものでした 幸せというものの意味 不確かで曖昧なものは 憎悪に簡単に打ちひしがれるでしょう 案内役は ガラス色のウサギ そう 貴方の心の中に…… それは繊細で壊れやすいから 守っていないと始まらない 皆途方もない時間に諦めてしまうけれど いつか僕の中 小さなガラス細工のウサギは 道を示し歩き出すような気がするのです 遥かな道を抜け 鮮やかな海さえも越えて 君の元へと僕を導くでしょう もしも僕が息絶えたなら 遥かな空の下 鳥に変わるでしょう 飛べない鳥は愛の歌を歌い 優しい南風に変わる 貴方のもとへ 届かなかった歌を届けに…… 中学時代の作品