――鬼灯―― 真紅の鬼灯(ホオズキ) 細い指で摘み そっと君は微笑んだ 今やもう色あせた鬼灯は 君への未練がましい思いそのもののようで 砕けた鬼灯 風に舞って 散りゆく様は 美しい童話のようだった バラはその昔 真紅の血でその身を染めたという 僕は自らに滾々と溢れるその一滴を思い まるでバラのような優美さに、ただ呆然と見惚れる 砕けた鬼灯は僕の心 まるでそれは、ゆったりと荒廃し乾いた風を孕む墓前のようだ 瞼の裏に描かれた夢物語には 哀れみの真紅の花束を 僕は子供のように眠り続ける 己の中、夢見る幼子を そっと抱き寄せては慈しむように口付けを落とす 鬼灯は砕け 無残にも散ってゆく しかしまた時を経て 月の光を受けどこかで美しくかがやくだろう 月という自らも痛みを知る陰の力を得て 万人に投げかけられた無条件の愛 無残な姿に受け止めた愛の片鱗を宿して 旅人の道を照らすように 旅人の身を案ずるように―― 高校時代の作品