彼は歩いていた。悠々と。カラフルな刺繍の施された帽子を被りなおし、くっと口元を歪める。

サア、オロカモノドモ。ゲームノ始マリダ。

 室内は溢れかえる人でごった返し、時折狭い通路を駆け抜けていく警察関係者とぶつかったが、一瞬嫌な顔を向けられるだけで、こちらから人懐っこいような苦笑を向けてやると、咎めはなかった。

悠々と迷いなく歩む足取りを、疑わしいと思う人間もいない。だれも呼び止めない。だれも咎めない。場所は警察。周りは警察官という敵ばかりの状況で、彼は怯えもしなければ、たじろぎもしなかった。

ナニセ俺ハ、モット恐ロシイ世界ヲ渡リ歩イテキタノダカラナ。

堂々正面玄関から進入を果たした彼は、ふと表情を崩し、射るような目を覗かせると、足を止めることもなく一つの部屋へと足を踏み入れた。

「すみませぇーん。宅配便ですけどもォ」

 対応に出てきたのは、年かさの老刑事だ。

「ヒトツギ様からのお荷物なんですけど」

「誰宛?」

「えっと……名前言えば分かるって言われちゃって……」

「……そんなんで引き受けたの?」

「スンマセン……新入りなもんで、ノルマが……」

「ふゥん。じゃあ、受け取っとくよ」

「あ! 親展なンすよ。私用だから、直接本人に渡せって……」

 仕方ないなあと叫んだ。何人かの警官が振り返り、そのうち一人が背後に声をかける。「だれか、知ってるやついるかー?」

 しかし、誰一人として応じない。どこからか「いねえってさー」と声が上がって、頭をかきながらその警官はこちらへと向かってきた。

「だ、そうです」

 うんざりといった警官の表情に、思わず「えぇっ!」と声を上げた彼は、特徴的に細めた瞳を困ったように見開いた。

「でも、確かにここの警察署って……」

「どこか別の課の間違いじゃない?」

 ポケットから伝票を取り出すと、勿体付けるように捲る。内心ほくそ笑みながら、暗記すらしている文字を辿らせていた指を止めた。

「あ! そっか、他にもあるんですね。他の部署なのかもしれないです。ごめんなさい、慣れてないもんで。お騒がせして申し訳ありませんでしたァ」

 困ったように眉を顰め笑った彼に、警官も、皮肉の苦笑を残していた。

 愚かな……。喧騒の陰で、口元を歪める。ああ、凡人ども。偉人すらをも殺す平和の堕落を貪り続けたが故、我々に入り込まれるのだ。今彼は、何処からどう見ても『今時の若者』であるあはずだ。そう見せる業と技術を持っているのだから。

だれも俺が、あの《逃げ出した背徳者、宿谷聖》だとは思うまい。彼は笑った。背を曲げ、すれ違う敵と、こんにちわと他愛ない挨拶を交わしながら、心の底で嗤っていた。年齢すらも、思うまま操れる。それが俺の強みだ。

 通路を曲がる。人気のない死角に入り込んだのを見計らって、手にした箱を脇に抱え、鮮やかな色彩で染められた帽子を脱ぐ。若干長めの髪がふわりと風に舞い、すっと胸につかえていた陰が身を潜めた。

明るい通路の先から、一人の男が堂々とした歩調で歩いてくる。

聖は着込んでいた宅配屋のジャンパーを脱ぐと、ひらり翻し、再び袖を通した。下には、カッターシャツ。裏返したジャンパーは、今までの原色然とした雰囲気を捨て去り、完全に落ち着いた背広となっている。伝票を無雑作に突っ込んだポケットから、一本のネクタイを取り出すと、彼は露になった首元へとそれと回し、結んだ。表情を引き締め、一瞬にして三十前後の警察官の体を整えると、すっと前を見つめた。

 目の前の男は、手元のバインダーに目を落としたまま、何も反応を示さない。悠然と歩を進めだした彼と、その男がすれ違う一瞬、音もなく小さな何物かを手渡された。流れるような動作、しかしどちらも振り向こうとはしない。それは、付けられた鈴と共に彼の手の中で跳ね、紐につられた身を重力に従い揺らした。木彫りの兎。彼の手の中には、幾つもの鍵が握り締められていた。

ミグの飼い犬、シウン。奴が動くと、色々と都合がいい。

 その足で左手側に作られた男性用トイレへと向かう。個室は二つ。その奥に用具入れと壁の間に挟まれて、肩身狭そうにそのスペースは存在した。配管。時折メンテナンスに来る業者が入る以外人の手に触れない、死角だった。

脇に挟んだままだった箱を再び手に取ると、一瞬身を屈ませ投げる。タイル張りの床を勢いよく滑った箱は、まるで吸い込まれるように扉と床の隙間へと消える。すぐさま体勢を立て直した彼は、古びた洗面台に向かうと、目元のメイクを拭い、踵を返した。後は簡単。逃げるだけ。

 ピッ……ピッ……と誰にも聞こえないような小さな音で、時を刻み続けていたピザの箱――それに入れられた火薬は、静かにカウントダウンを続けていた。彼らが逃げおおせるには十分な時間を。

 5……4……3……2……1……。

 一瞬の中に作り出された混沌。計算しつくされた量の火薬が、それ相応の力を持って限られた空気を膨張させ、怒涛のように熱気を撒き散らす。狭い室内では飽きたらず、酸素を欲する化け物は、配管を収めた扉の、古びた蝶番を弾け飛ばせ、ずるりと灼熱の大蛇の如くのたうった。

 

 ど……っ、と腹に響く衝撃に、驚いて目を覚ます。寝ていたことさえ気づかないような、ほんの少しの時間だ。

結局、加賀の睡眠は一時間では収まりきらず、ベロベロになった体ごと苦々しくも迎えに来た熊に引きずられていった。それからようやく、うとうととまどろんでいたのだ。

混乱をもたらしたらしいその衝撃は、異常に慣らされたはずの警察官さえもを俄かにざわつかせる。根源となる場所へと急ぐ足音が何処からともなく聞こえ、真一の心もかっと恐怖で揺らいだ。何だ、何が起きた?

 かつんっ。

 金属質の音が、小さく、しかし長く強く響き、尾を引いた。何事かと顔を上げる。

ゴトン、鈍い腹に響く衝撃が、何処からか伝わってくる。その元をたどり、手近の壁へと手を這わせた真一は、手に伝わってきた小さな震動に頭上を仰ぎ見た。何もない。あるはずがない。

 その時だ。今までとは比べ物にならない音を立て、真一の背後、鉄格子の向こうで何かが降った。金を打ちつける歯がゆくなるような衝撃音と同時に、天井へと備え付けられた通風孔の鉄格子が散乱した。何事かと見上げた真一の目が、狭い穴倉の奥、するりと身を滑らせるものを見る。散らばった通風孔の鉄格子の上に、音もなく降り立ったそれは、ぐるりと肩を回し、首をめぐらせた。にっと笑う。笑い方は、彼女の兄に似ている。

「久しぶり、元気してた?」

 彼女は、屈託のない笑みを見せ、あっけにとられる真一を見つめた。宿谷千歳。ついこの間、取り逃がした被疑者と警察官、追うものと追われるものが、鉄格子越しに対峙する。

思わず距離をとるように立ち上がり身構えた真一に構わず、彼女は悠然と、中と外を隔てる鉄格子へと歩み寄る。上体を守るように着込んだ戦闘服の胸ポケットへと手を伸ばし、作られたばかりと思われる鍵を取り出す。その先には、あの木彫りの兎がついていた。

 無駄を取り払った動作で、鍵が開かれる。どうぞ? と先を促すように目を泳がせた千歳に、真一は違和感と不信感を募らせていた。

「何を考えて……」

「僕らのリーダーが、君を助けることを採択しました。ノ・テウォンこと宿谷聖、方や国を追われた百年に一人の逸材、軍師ソン・アンナム。両者の合意の上、我々はあなたを檻から逃がすことを了承し、動いております。どうぞ我らが組織に同行を」

 恭しく頭を下げた千歳に、真一は訝しげに目を細める。頭上の喧騒は収まっていないようだ。何だろう、得体の知れない不安と疑念が腹の奥底で渦巻き、頭をもたげると、そっと囁きかけてくる。意図が分からないのだ。

「……悪いが、断らせてもらう。僕は何もしていない。じき疑いは晴れる。仲間が証拠を集めてくれているし、それまでの辛抱……」

「きっと集まらないよ」

 通路の先へと警戒の目を飛ばしていた千歳が、すばやく言った。

「あいつらにとってみれば、証拠の捏造なんて他愛ないことだもの。事実、僕らは裏切られた」

 もう帰るところはない、と暗に匂わせ、千歳は視線だけをこちらへと向けた。

「どうする? もし僕らと来ないなら、君に未来はない。あっちに渡されたが最後、末路は同じだ。君だって気がついているだろう? 自分が僕らの身代わりにされたんだって事くらい。僕たちは、第三国への出国を目指してる。僕らには兄貴がいるんだ。どこぞの国家と手を結べば、何とかなる。君一人増えるくらいどうってことないんだ。今兄貴とシウンっていう僕らの仲間が暗躍して、警察の目をそらしてくれてる。逃げるなら今のうちだ。どっちにしろ、君に選択権はないよ。もし君が僕たちの誘いを断れば、あの爆発事件、君のせいになるだろうから」

 君は警察関係者だったから、用意周到な計画犯ってことにすれば、国も証拠を作りやすいんだ。千歳は付け加え、表情を緩めると、腕を組んで小首をかしげた。さあ、どうする? そう言いたげな表情だ。

 脳裏に、ついさっき会話を交わした狐塚の顔が過ぎる。俺たちが何とかするからな。今、熊と加賀がお前のアリバイ集めてる――。

 でも、と思う。間に合うのか? 本当に間に合って、僕は助かるのか? この世界には、在日というだけで、初めから僕のことを疑ってかかるものが沢山いるというのに……。

 もう、思い切るしかないかもしれない。投げやりに近い感情が叫ぶ。彼らは僕と同じ境遇の人間だ。どうせ死ぬのなら、足掻いて足掻いて、足掻ききって敵を感服させてから死んだ方が本望だ。ぐっと歯を食いしばった。ここが分かれ目かもしれない。死ぬか生きるかくらい、自分で決める。僕の価値を認めようとしない人間たちに、あっと言わせてやる。そうするだけで、僕の人生には意味があるんじゃないか?

 すっかり鈍ってしまった足に、力を込めてみた。大丈夫そうだ、以前よりは心もとないが、まだ人一倍動ける。そうだ、この檻から出よう。国なんて、人間が作り出した単位だ。国という檻にただつながれ嘆いているより、自ら新しい地へと踏み出したほうがいいのかもしれない。目の前の千歳の表情がぱっと華やぐ。狭い鉄格子の扉を軽く押すと、まるで抵抗するように、きぃっと悲鳴を上げた。

 

――僕はここでお別れだから、後はその通りに行けば、必ず迎えが来るはずだよ。

 衣服とメイクで完全に印象を変え、聖の起した爆発物事件の混乱に乗じてまんまと署から抜け出した千歳は、そう言って真一に一枚のメモを握らせた。真一の上着を脱がせ、自ら羽織ると、鍔のついた帽子を目深に被り、にいっと笑って見せた。

――もうひとつ、背けなきゃならない目があるだろ?

 踵を返す。ひらりと翻った上着に、アッと声を上げた。背格好を調節した千歳は、顔の印象さえ隠してしまえば真一とほぼ同じとなる。元々高い背に上げ底の靴は不釣合いだったが、彼女が着こなすとどうにも違和感がなくなるのが不思議だ。

 地下に篭り鬱々としていたときとは正反対に、ここは目が眩むほど眩しい。体力が落ちていたのか、全身の感覚を僅かな時間奪われ、焦って頭を切り替えた。白む視界は活気があって、夏の日差しでほんの少し気分が悪い。喉元にわだかまる異物感を無理やり飲み下して、真一は手元のメモへと目を走らせた。殆どが都内有数の大通りだ。しかも徒歩で。

 たしか以前ここを通ったのは、暴徒と化した学生運動の鎮圧に借り出されたときのことだ。その時とは、随分様相も変わっている。あれからどれほどたったのか、道の両端には比較的高いビルが立ち並びはじめ、所狭しと溢れているのは暴力と一緒に大切な何かを置き忘れてきた、自分とさしてかわらない若者たちだ。

何度も同じ場所を、大きく、時に小さな弧を描きながら回っていると、ここが何処なのか、現実味すら薄らいでくる。雑踏は長く絶え間なく続き、真一の視界を狂わせる。日射病にでもなったのだろうか、時折歪み、白んでいく視界が、唯一つ現実のよりどころだ。ふらつく足元を気にすることもなく、真一は休みもせずに歩き続けた。

幾度目になるだろう。大きな交差点ですでに人として認識することもなくなった流れに身を任せていると、不意に大きな手で背を叩かれた。ビクリと身がすくむ。思わず振り返ろうとすると、いつの間にか横にあった大きな陰が、真上を示しつつある太陽を翳らせ、真一へと目を移した。酷くゆっくりと進む真一にあわせ、その人物も奇妙にゆっくりと歩を進めている。

柔和な笑みを前面に浮かべ、彼は笑った。肌に馴染んでいるのだろう、何よりその動作は自然だ。

「遅かったな、すっかり待ちくたびれたぞ。どうだった、田舎は。少しは面白いものでもあったかね?」

 口元を緩めたまま、彼は言った。誰かと間違っているのか。口を開きかけた真一に、鋭い眼光が飛んだ。何も言わなくていい。今まで敵意の欠片も見られなかった目に、総毛立たせるほどの光がまざまざと浮かんでいた。

「そういえば、家の厄介者が足を引っ張りはしなかったかい? あいつもさすがに、あそこまで年を食ってしまうと、わたしにも手が付けられんでね。困っていたところだ。ああ、そうそう、食事はこちらで用意しているよ。存分にくつろいでいけばいい。我が家の愛犬も、すっかりやんちゃ盛りでね。若い者が相手してくれんと、さすがに年寄りには応える。なに、しつけは行き届いたヤツだ。君もすぐ慣れるだろう」

 四十前後と思われる男は、きょとんと目を丸くする真一に構わず捲くし立てると、不意にルートと違う方向へと彼の手を引いた。こっち。暗に語った瞳に促され、そちらへと足を向ける。

そこは、入り組んだ道の先、人通りも殆どない裏の裏だった。通り自体は大きく、今にも壊れそうなビルとレンガ造りの建物が立ち並び、傾き、時には支えあって辛うじて存在している。時代から見捨てられたかのような場所だった。

 真意を問おうと口を開きかけた真一へと、他から見えないように口元に指を翳した。

「後ろ、北の番犬どもが嗅ぎまわってやがる。何とか巻けるだろうが、わたしが何者なのかは極力知られたくない。黙っていてくれるな」

 真一が軽く頷くと、男は紳士然とした雰囲気で笑うと、背後からは見えない位置で真一の手を取る。いかにも旧友を出迎えたといった風を装った彼は、それこそ遠慮もなく真一の背を叩いた。

「いやー、君がいなくなって困った困った。ほら、覚えているか? 総務の福田君。彼にね、泣きつかれてしまったよ。『こんな忙しいときに、何であっちに送ってしまうんですか!』とね。いやー、あれには参った。下手したら集団ストライキにでもなりかねん域にあったな。それにしてもよかったよ。君が無事に帰ってきてくれて何より」

 彼は紺に近い瞳を煌めかせ、背後へと鋭い視線を送る。何かが蠢く気配を一瞬感じ取れた瞬間、人質のように握られていた手に力が込められ、突如として彼は走り出した。

「走れ!」

 引きずるような圧倒的な力に足を取られながら、急激な変化についていけない頭が何事か警報を鳴らした。何だ? どこからこんな力が……?

 背後で、焦った人間の足音と、金属が稼動する奇妙な音が響く。おそらく、銃のスライドを引いたのだろう。しかし、真一の知る限りその化け物が火を噴くことはなかった。

 身を隠すのもやめ、白昼躍り出た男達の足元に、ばちっと赤い火花が散った。一瞬にして状況を理解した兵たちは、音もなく飛来した猛獣の牙を追って、頭上を仰ぎ見た。彼らを囲むように広がる建物群と、容赦なく照りつける真夏の太陽が、彼らの思考を端から食らっていく。

じわじわと浸食されていく理性を奮い立たせ、耳を澄ますも、彼らの耳に迫り来る弾丸の鋭い音は聞こえなかった。彼らの努力を嘲笑うかのように、弾丸は確実に一発、また一発と古びたコンクリート製の地面を抉り取っていく。牙をもたげた目に見えぬ獣が、追い詰めた獲物を追うように一歩一歩近付いてくる。そう思わせるような弾痕だ。

 銃口と同調させた目が辺りを一通り舐め、ちっと舌打ちをする。飛来する弾丸は、先頭に立つ司令官と思われる男の足元まで達していた。

『撤収!』

 彼が号令をかけると、白日の下身を晒していた男達が散開した。軍隊で叩き込まれたスピードと制度を備えたその動きを認めることもなく、男は再度残酷なほど狭められた空を見上げ、苦々しげに歯を食いしばった。

 

 最後の一人がその場を去っていくのを見るともなしに眺め、それは、手にしたライフルの安全装置をかけた。否応なしに熱された銃口を仕舞い、半ば朽ちかけた窓辺を離れる。落下防止のためか申し訳程度設置された柵から日本中何処でも見かける背広の上着を取り上げ、肩からかけた。両肩から背へと伸びる皮ベルトのホルスターに、用心のために持っていた拳銃を収め、ライフルを小脇に抱える。蝶番が外れ、斜めに傾いた扉の前では、彼も見慣れた人物が、くつくつと堪えた笑いを零していた。

「いちいち消音器使わなくても、よかったんじゃないの?」千歳は、歌うように言った。

 彼は冷ややかに一瞥すると、無言を返事に出て行った。

 お前みたいなヤツがいるとも限らないからな。

昔から語ることを好まない彼の、微かな表情の変化からそう感じ取った千歳が、軽くため息に似た笑いを零してから、その背に従って階段を下りていった。

 

「あの馬鹿……っ!」

 目の前の背が戦慄き、壁を殴りつける。怒りを何とか押さえつけているというその背を哀れみを込めて見つめ、熊は大きなため息をついた。

 とんでもないことをしてくれたな……。

 視線の先には、空になった牢がそこだけ空虚な空間を晒している。

 狐塚にとってみれば、裏切られたも同然の心境なのだろう。同期ということもあって、二人には他にはない結束のようなものがあった。

 隣の加賀は何を考えているのか、珍しく鋭い視線を牢に向けている。

「追います」

 狐塚が怒りを溶かした目を向ける。

「他の奴には捕まえさせねえ。あいつが逃げたのなら、捕まえて身の潔白を証明してやる」